お兄ちゃんの嘘 2005/03/10 14:55 |
5つ上の兄の居る妹です。私の家庭環境は両親が亡くなって、兄妹二人になってしまい、兄は高校にも行かず働いて私を高校大学まで行かせてくれました。
小中高と保護者参加の学校行事の時は必ず参加してくれて、休みの日はお弁当を作って動物園や遊園地、誕生日には県外に旅行へ連れて行ってもらって、バースディプレゼントも貰ってました。普通の家庭の子供と同じように、多分、それ以上に愛情を注いでもらったと自信を持っていえます。
兄に「お兄ちゃん、私も来月から働くんだし大検取って大学行ってみない?私、学費出すよ」と言ったら。
兄は笑顔で「俺、頭悪いし勉強嫌いだから止めとくよ。それに今の仕事って嫌いじゃないから」と言われました。
嘘。私が居ない時や寝ている間に私の教科書で勉強しているのは知っている。兄に「お兄ちゃん、彼女とか居ないの?」と聞いたら、やっぱり笑顔で「俺、昔からモテないからなぁ~」と答える。
これも嘘。毎年、バレンタインデーの前後になると「今日、製菓会社の人が来てさ…」と、あからさまにラッピングや包装を剥がしたお菓子を沢山持って帰ってくる。そして、必ず一通か二通、外し忘れたラブレターが見つかる。恋愛していたら、お金を稼ぐ暇が無くなる。私を養わなければいけなかったから恋愛する暇も無かった。
私が高校生になった時に「最近、物騒だからケータイ持っとけ」と携帯電話を買って来てくれた事や、「オシャレでもして格好良い彼氏でも作って良い恋愛しろよ」と服や化粧品を買って来てくれた事があった。嬉しかったけど素直に喜べ無かった。これを買うお金は一体何処から…?と思ったから。「お兄ちゃん、お金大丈夫なの?」と聞いたら「今日、ボーナスが入ったんだよ」と言われた。最初は鵜呑みにしていたけれど、すぐに嘘という事が分かった。兄の勤め先にはボーナスを支給する事、事態無かった。
そして、兄の部屋を掃除している時に見つけた一枚の紙切れ「治験ボランティアのご案内」。そして、赤いペンでマークされていた一泊二日 謝礼三十万円。当時は意味が分からなかったけど、今なら分かる。私を「普通の高校生」らしくする為に自分の身を切り売りするような事をしたという事が。治験の意味を初めて知った時、兄に抱きついて一晩中泣き明かした。
兄は私の為に嘘を重ねる。以前、兄の親友も交えて一緒にお酒を飲んで酔った二人が、「お前も大変だな!気楽な俺とは大違いだ!お前、辛くないのか!?」「俺はな。妹の事を愛しているからな!こんな事、何とも無いんだよ!こいつが良い高校、良い大学を出て良い会社にも就職が決まった!中学を卒業して俺一人でどうにか此処までやってこれたのもこいつに対する愛があるから出来たんだよ!後はこいつが良い男を見つけて、良い結婚して幸せな家庭さえ築いてくれれば俺はそれで、もう十分満足!幸せだ!こいつの為だったら、俺は何だってやれるんだよ!俺はこんな立派な妹を持って誇りに思うぞ!」と言って二人で熱く語り出した。
私の為だったら何だってやれる。と言うよりもやって来たんだと思う。私が素直に施設に入っていたら、兄もここまで苦労する事は無かった筈なのに何で、兄一人だけが苦しい思いをしたんだろう。私が居なければ、夜間校や通信性の学校にも行けた筈だし恋愛も出来た筈なのに、何で私一人の為にここまで苦労したんだろう。兄と二人で暮らすようになった時の年齢は15と10当時は未だしも、高校生になっても成人を迎えても私に頼るような事も弱音を吐く事も無かったのは何故だろう。考えるだけで涙が出てくる。
もっと自分を大切にしてよ!!と叫びたくなる事がよくあったけれど、私はこの人が兄で良かった。この人の妹で幸せだったと思う。私が高校と大学に受かった時、一緒に涙を流して喜んでくれた。嬉しい事があれば一緒に笑ってくれたし、悲しい事があれば一緒に泣いてくれた。
中学の時、大きな病気をした時、治るのに一週間かかったのにも関わらず、仕事を休んで着きっきりで看病してくれて辛いけど嬉しかった。目を覚ます度に兄がすぐ横に居てくれて「大丈夫か?」と額に手を当ててくれた時は本当に心強かった。
17の時、兄に一度だけ手を上げられた事がある。クラスの男の子が贈ってくれたプレゼントを換金したからだ。「意外と良い値段で売れたよ!このお金で美味しい物でも食べようよ!」と言った瞬間、兄から平手を受けた。どんなに辛い事があっても何時も笑顔の兄が本気で怒っていた。痛みよりも、恐怖と疑問の方が大きかった。「これを贈った人は、どんな気持ちでお前に贈ったと思う?○○に喜んで貰えると思って贈ったんじゃないのか?それなのに、お前はその人の想いを踏み躙るような事をしたんだぞ!」なんて馬鹿な事をしたんだろうと思った。兄に嫌われたとも思ったし、もしかしたら私は捨てられるのだろうかと思った。急に怖くなって来て泣きながら必死に謝っていたら、優しく抱きしめて「痛かったろ?ゴメンな」と謝って頬を冷やしてもらった。安心したら途端、頬が滅茶苦茶痛くなった。冗談で済む程度の報復を考えたりした。しかも、なんだかんだで、そのお金でちょっと贅沢をしたのも今は良い思い出。
兄に内緒でバイトを始めた。前にバイトすると言ったら「小遣いが欲しいならやるから、勉強や友達と遊ぶ方を優先しとけ」と言われたからだ。本当は少しでも兄の負担を減らしたかったから。でも、兄は私に協力させようとはしない。ばれないようにする為に沢山は働けない。それでもこつこつとお金を貯めて、私が初めて自分の力で得たお金で兄にプレゼントを買った。スーツとネクタイと靴。金銭的な余裕があっても兄なら「いざという時に役に立つから貯めておこう」と言うのは分かりきっていたから。兄に「お兄ちゃん、何時も有難う!」と言って渡したら、兄は驚いていた。「そして、これどうしたの?」と聞かれたので「実はお兄ちゃんに内緒でバイトしてて買ったの。ちゃんと自分の力で買ったんだよ。お兄ちゃんの靴もスーツもボロボロだったから」と言ったら、兄の表情が硬くなっていた。内緒でバイトしていたから怒られるのかと思っていたら、泣いて喜んでくれた。そのスーツを初めて着てくれたのは授業参観の時。中々、着てくれなかったから凄く嬉しかった。人生を振り返ってみると、兄の存在はとても大きいと思う。もしも、兄が居なければ、あの時、施設に入っていたら。今頃、私はどうなっているのか想像が付かない。兄に「もし、お母さんが死んだ時に私が居なかったり、施設に入ったりしてたら。お兄ちゃんは今頃、どんな風になっていたと思う?」と聞いてみた。答えは聞くまでも無い。勤勉な兄だから仕事をしながら学校に行って良い恋愛をしていたに違いない。でも、兄は「父親の事、覚えてる?」と私に聞き返して来たので「覚えてないけど、どうして?」と答えたら
「多分、お前が居なかったら今頃、あの糞親父みたいに酒とギャンブルに溺れて、借金まみれになって人に迷惑をかけまくっていると思う。○○っていう守るべきたった一人の家族が居たから、俺はここまでやってこれたんだと思う。人間、目的無しに生きていける程、強くは無いからね。お前のお陰で少しも恥ずかしくない人生だったと思うよ。ありがとうな」と頭を撫でられた。来月からは私も社会人になるんだし、兄に恩返しをしていこうと思う。
で…ブラコン撲滅スレなわけですが、もしかして私、ブラコンか!?と思う時が…。普通に彼氏欲しいとか思うんですけど「あ、あの人、カッコイイー♪」なんて思う事はよくあるけど、話してたら、「うわっ、何この人。物凄い子供みたい」「器小さっ!」みたいに思った後に必ず付くのは「お兄ちゃんなら…」大切な家族。尊敬する人って思っているつもりなんだけど…でも、兄とどうこうなりたいわけでは無いし、性的な魅力を感じるわけでは無いし、兄に恋人が出来て、結婚とかなったらきっと嬉しいと思う。私のせいで今まで出来なかっただけにね。
2時間前
兄「あれから12年か…お前も、もう一人前になるんだな~」
妹「大変、お世話になりましたっ」
兄「でも、アレだな。意外と余裕だったな?お前、大学院でも行くか?」
お兄ちゃん…恩を返し切れそうにないですorz
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